Cover Beer

ベルギーは小さな国ですが、ビールでは大国! ビール好きの聖地と言えます。ここには2000以上のユニークなビールがあるのです。読み間違えではなく、本当に2000。アベイビール、グーズやランビック、フルーツビール、赤や茶色の伝統エール、トラピストビール―その品質で世界的に知られるものばかりです。また新しいビールも次々と生まれています。フランダースのどの街に行っても、豊かでユニークなビール体験が可能です。その証拠を見たいですか? もし手元にベルギービールがあったら、グラスに注ぎ、ゆっくりと味わいながらこのページを読んでみてください。

所要時間:9分20秒(それがウェストヴレテレンの12番を半分飲むのにほどよい時間だから)

アントワープ:ボレケ、そして世界一のパブ

Bolleke」(ボレケ)、つまりデ・コーニンク、100年以上に渡って、アントワープのビール大使ともいえるもの。の琥珀色のスペシャルビールは、ビールの栄冠に輝いてきました。デ・コーニンクの樽ビールは、アントワープのほとんどどこでも賞味できます。デ・コーニンク・エクスペリエンス・センターで200年近い醸造所の歴史を説明するツアーに参加してみませんか。

Brewery De Koninck
Kulminator

Kulminator (クルミナトール)という店は、アントワープの王冠に輝くもう一つの宝石。この伝説のビアカフェは、レアものを含む600種類ものビールを揃え、ビール界で権威あるRateBeer.comにも世界一に選ばれています。クルミナトールこそは本物の聖地。ビール好きやビール通ばかりでなく、正真正銘のベルギー・パブを体験したいという方にもお薦めです。

もし、お腹も満たしたいなら、De Groote Witte Arend (デゥ・グローテゥ・ウィット・アーレント)が待っています。たとえば、この素晴らしいパブでは、黒ビールで煮込んだフランダース・シチューなど、多くの料理にビールを用いています。レストランには、品揃え抜群のビール・セラーがあるので、お料理にぴったりの特別なビールを選ぶことができるのです。

世界最高のバーだ

Ratebeer.com より

アントワープの歴史を飲み干してみたい? それなら、伝説のジャズバー「De Muze」(デゥ・ミューズ)で、Seefbier(セーフビール)を試してみては? この少し濁ったブロンドビールは、17世紀以来、アントワープのビールとして知られていたのですが、その後、大量生産ビールにすっかり取って代わられてしまいました。2012年、アントワープ・醸造所(Antwerpse Brouw Compagnie)がセーフ(Seef)を蘇らせました。まだ新しい醸造所で、昔の人々が楽しんだように、できたての歴史的ビールを味わうことができます。

ゲント:ビール・バーが素晴らしい

「ゲント」で「ビール」と続けて言えば、誰もが、2つのビールの名所、つまりDe Dulle Griet(デゥ・デゥル・フリート)とWaterhuis aan de Bierkant(ワーテルハイス・アーン・デゥ・ビアカント)を薦めるでしょう。この2つの有名なパブは、美しいゲントの街の中心部にあります。De Dulle Griet(デゥ・デゥル・フリート)には500種類以上、Waterhuis(ワーテルハイス)には150種類以上(その内、14種類は樽入り)のビールが取り揃えられています。日が沈んだら、レイエ河畔のテラスに腰かけてみませんか。心地よさ満点です!

Het Waterhuis Aan De Bierkant
Gruut

クラシックなビアパブに浸った後は、新しいトレンディ―なスポットに行ってみましょう。たとえば、すぐそばにあるGitane(ジタン)なら、新しいビールが選り取り見取り。お腹が空いてきたら、少し歩いてDe Stokerij(デゥ・ストケレイ)へ。このレストランのために造られたStaminee(スタミネ)のブロンドやブラウンビールが、シンプルで美味しいお料理にぴったりと合います。

ゲントでしか飲めないビールといえば、Gruut(グルート)。街の中心にあるこの醸造所は、最新の技術を用いながら、伝統的な方法で醸造しています。ホップの代わりに、Gruut(グルート)と呼ばれる特別な秘伝のハーブ類が使われるのです。それが独特の味わいをもたらします。ゲントらしいビール体験をお望みなら、Beerwalk (ビールウォーク)や Focus Flanders(フォーカス・フランダース)などの、ガイド付きビールツアーに参加することもできます。

Rosa Merckx

ゲントから少し離れますが、Liefmans Brewery(リーフマンス醸造所)の素晴らしいビールも見逃せません。ゲントから電車で30分のアウデナールドという町にあります。1679年創業のこの醸造所は今も現役。酸味があって、赤褐色のチェリービールGoudenband(ガウデンバンド)は、ビール通をうならせると評判の伝統の味。その成功は、今も、リーフマンス醸造所で当主を勤めるローザ・メルクスに負う所が大きいと言えるでしょう。現在94才の彼女は、ベルギー最初の女性醸造家であり、品質に年齢制限などないということを示しています。

画家が絵を描くように、ビールを醸造するのです

ベルギー初の女性ビール醸造家、リーフマンスのロサ・メルクスの言葉

メッヘレン:黄金色のマスコットがいる街

Gouden Carolus(グーデン・カルロス)は、メッヘレンという町の非公式なマスコットともいえるビール。街で最も古いものの一つで、すでに伝説の域に達した醸造所Het Anker(ヘット・アンケル)が造っています。ここでは、伝統と品質が共存しており、Gouden Carolus Classic(グーデン・カルロス・クラシック)は、近年、世界でもっとも権威あるビール品評会で数々の賞やメダルを獲得してきました。「初めは、キャラメルとピーチ・リコリスのような深く豊かな香り。強く、それでいて滑らか。フルーツ風味のあるしっかりしたボディで、温かみのある後味が長く残る。」とは、ワールド・ビール・アワードの審査員の評。

Gouden Carolus
Brewery Het Anker, Mechelen (c)milo profi

クラシックなビール以外にも様々なビールがあります。ヘットアンケルでは、グーデン・カルロスのシリーズのトリプルやアンブリオ、Maneblusser(マネブラッサー)やCuvée van de Keizer(キュヴェ・ヴァン・デゥ・カイゼル)などを造っています。醸造所見学ツアーの後には、なんとGouden Carolus Single Malt(グーデン・カルロス・シングル・モルト)の試飲ができます。これはグーデン・カルロス・トリプルを作るための麦汁から作られるウィスキー。ぜひお試しあれ。お腹が空いたら、ここでお食事するのもお薦めです。醸造所併設の素晴らしいレストランを予約してください。

ゴールデン・カロルス、パワフルながら繊細。がっしりとしたボディに豊かでフルーティーな香り、そしてゆっくりと温めてくれる

世界ビールアワードの審査員の言葉

カルロスはメッヘレンの代表的存在ですが、まだ他にもいろいろあります。たとえば、Makadam(マカダム)。このパブでは、世界中の新しい実力派ビールを取り揃えています。歴史あるセッティングがお好みなら、メッヘレン最古のカフェd'Hanekeef(ハネケーフ)へ。1886年創業のこのカフェには、約40種類のビールが用意されています。

ルーヴェン:ステラのあるところ、そこが私の故郷

ステラのあるところ、そこが私の故郷」――これは、いまや世界中で知られるビール銘柄Stella Artois(ステラ・アルトワ)が用いた広告のキャッチコピー。ステラの故郷? そう、この象徴的なビールは、若さあふれる大学の街ルーヴェンでいまも造られているのです。1708年、アルトワ一族がここでビール造りを開始。数世紀のノウハウが世界中で飲まれるビールを造り上げたのです。醸造所では、ガイド付きツアーとテイスティングをすることができます。これまで飲んだ中で最も新鮮なステラ・アルトワとなること請け合いです。

Stella Artois (c) Bart Van Der Perren
beer gif

フランダースのハウスブルワリーの典型Domus(ドミュス)は、ルーヴェンの歴史ある旧市街にあります。1985年以来、添加物を使用せず、伝統製法で醸造しています。もう一つのお薦めはDe Vlier(デゥ・ヴリエ)。ルーヴェン近郊にあり、居心地よいテイスティングルームで何種類かの(季節限定)ビールを飲ませてくれます。

ルーヴェンの中心にあるCafé Fiere Margriet(フィエール・マルグリート)なら、質と量の両面でご満足いただけます。Wolf(ウォルフ)、 Broeder Jakob(ブロダー・ヤコブ)や Hof ten Dormaal (ホフ・テン・ドルマール)を始めとした280種類のビールを取り揃えています。ビールへの愛は、ルーヴェンのレストランでも感じられます。たとえば、Zarza(ザルザ)は、ベルギービールに情熱をかけるカジュアルでモダンなレストランです。

ビール好きがルーヴェンを訪れるなら、ぜひ4月の終わりに旅を計画してください。ベルギー最大のビアフェスZythos(ジートス)が開催されるからです。世界中で最も多くのベルギービールを試すチャンス。ベルギーの100以上の醸造所から、500種類以上のビールが勢ぞろいします。他の時期に訪れるなら、必ずアウド・マルクトへ。多くのパブが軒を連ねるこのあたりは、「ヨーロッパで一番長いバー」とさえ呼ばれるほどです。

ブリュッセル:ランビックやグーズの発祥地

ブリュッセルはランビックの発祥地。複雑で酸味の強いビールは、そのままでも美味しいですが、グーズやクリークビールのベースにも使われています。Cantillon(カンティヨン)、Lindemans (リンデマンス)、 Timmermans(ティママンス)などが伝統の醸造所。カンティヨン醸造所は、Brussels Museum of the Geuze(ブリュッセル・グーズ・ミュージアム)になっており、10月から4月までの醸造の季節には、実際に醸造しているところを見学することもできます。この液状の文化遺産ができる様子を、実際に行って見て、嗅いで、味わってみてください。

Moeder Lambic beer (c) MiloProfi
Amuse-Gueuze

ブリュッセルは、伝統的なビールの殿堂ですが、同時に、最近のトレンド、マイクロブルワリーの新しいうねりの先駆けでもあります。Brasserie de la Senne(ラ・セーヌ醸造所)や最新のBrussels Beer Project(ブラッセルズ・ビア・プロジェクト)などは、醸造に新風を吹き込んで成功しています。首都圏地域の独自性豊かなカフェには彼らのビールが仲間入りしています。

もちろん、ビールはグラスにいれて飲むものですが、Restobières(レストビエール)なら、ビールは大事な食材。下町マロール地区にあるこの気取らないレストランは、シェフのアラン・フェイが、ビールを使ってご馳走を作り上げます。たとえば、Hommel beer(ホメル・ビール)を使ったムール貝、Watou(ワトー)の白ビールを使った仔牛のシチュー、クリークを用いたデザートまで。どの料理も、ビールが最も重要な材料なのです。

Moeder Lambic, Brussels (c)milo profi

ビールの味にとことんこだわる方には、Moeder Lambic(ムーダー・ランビック)に行きましょう。この有名なパブには、400以上のビールがあり、そのほとんどはクラフトビール。ここでは工場で大量生産されたビールは一つもなく、30種類の樽生ビールがぞれぞれの最適温度で飲めるように工夫されています。

ブリュッセルの中心にあるグランプラスには、Belgian Brewers Museum(ベルギー醸造家ミュージアム)があり、ベルギーの数百年に及ぶ醸造の伝統を保っています。ここでは、18世紀以来、醸造家が用いてきた原料の他、道具類、仕込み釜、煮沸釜、発酵槽などを知ることができます。

ブリュッセルの西に足を延ばせるなら、In de Verzekering tegen de Grote Dorst(イン・デ・ヴェルゼーケリング・テーゲン・デ・グローテ・ドールスト)に行かない手はありません。「どうしても飲みたい時の保険」という意味のこのパブは、Lennik(レニック)という町にあります。ここは、毎週一度だけ、ミサが終わった後の日曜の朝に開業。この純粋に庶民的なパブは、RateBeer.comで、世界一に選ばれたこともあるのです。

ブルージュ:地下にビールパイプが走るおとぎの国

ブルージュは、芸術と遺産にあふれるロマンチックな宝石のような中世の街。鐘楼、ベギン会院、そして、フランダースの巨匠たちによる作品を所蔵するグルーニング美術館など多くのミュージアムがあります。多くの人には、't Brugs Beertje(ブルグス・ベアチェ)があまりにも有名。300種類以上を取り揃えた有名ビアカフェで、軽食も豊富で、心地よく楽しめます。

Bruges (c) Milo Profi
Brugse Zot - House beer of family brewery De Halve Maan - © Sebastian Adel (https://creativecommons.org/licenses/by-nd/2.0/)

地ビールを味わってみたければ、まずDe Halve Maan(デ・ハルヴ・マーン)醸造所が造るBrugse Zot (ブルグス・ゾット)と Straffe Hendrik(ストラッフ・ヘンドリック)から。

この醸造所が特別なのはビールのせいだけではありません。旧市街にある仕込み室と、市街にある瓶詰工場の間を、地下のビールパイプでつないでいるのです。醸造所を訪問すれば、ビール造りにかける情熱など、様々な魅力を知ることができます。

Bruges beer museum

同じく興味深いのが、Bruges Beer Museum(ブルージュ・ビール・ミュージアム)。ここでは、ビールの歴史、醸造方法やビールの様々なタイプなどが説明されています。もちろん、素晴らしい試飲セッションもあります

もっと知りたいなら、街中にあるパブを訪ねてみましょう。たとえば、 't Brugsch Bieratelier (ブルグッシュ・ビアアトリエ)。ここには常時12種類の樽生ビールが味わえます。Rose Red(ローズ・レッド)はその名の通り。この気取らないカフェの天井は、大量の赤いバラで彩られています。その下で、世界中の全てのトラピストビールが味わえるのです。

フランダースの街は、芸術と文化遺産で知られています。そして、ビールはその中に完璧にマッチしています。中世以来、職人技がとても大切にされてきました。2000種類ものビールがあり、その中には、世界で最も美味しいものが含まれています。ベルギービールは、質と量の両面で世界の頂点にあると言えるでしょう。さあ、ベルギービールを、フランダースでお楽しみください。

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