view on Haverwerf in Mechelen - ©Milo-Profi

メッヘレンは知られざる宝石。他のフランダースの大都市にも負けない、素晴らしいものがたくさんあります。メッヘレンが誇る豊かさは、聖ヤン教会ブスレイデン邸に、第二次世界大戦の爪痕は、カゼルヌ・ドサン・ミュージアムやブレーンドンクの要塞に見ることができます。同時に、楽しいおもちゃミュージアムや麗しい聖ウルスラ修道会のウィンターガーデン(温室)などがあり、訪れる人々は幅広い芸術体験が楽しめます。メッヘレンのハイライトを、2日間という短い時間の中で少しでも多く楽しむヒントをご紹介します。

1日目

象徴的、神秘的、芸術的:マルクト広場とその周辺

メッヘレンの中心にある生活感と躍動感がみなぎるマルクト広場に立てば、ここがスタート地点に最適な理由がわかるでしょう。ひと際目立つのは、聖ロンバウツの塔と大聖堂。見事なアーチ型の飛梁、改修された内陣の構造、ついぞ完成することのなかった天辺が平な塔を持つ大聖堂は、メッヘレンの神秘的な象徴です。聖ロンバウツその人は、この大聖堂に埋葬されているともいないとも言われ、また、雲に映った月明かりを火事と錯覚して鎮火しようとした昔の人々の話や、顔だけ白い黒いマリア様をあしらった窓のステンドグラスなど、不思議な伝説がいろいろあります。大聖堂内には、アンソニー・ヴァン・ダイクの絵画、ルーカス・ファイデーべミヒール・ヴェルヴォールトの彫刻作品などがあります。塔の上にあるスカイウォークにも行ってみましょう。アントワープからブリュッセルまでの素晴らしい眺望が楽しめます。

Saint Rumbold's Tower and Cathedral by night in Mechelen

聖ヤン教会にもご覧いただきたいものがたくさんあります。ベルギーで最も豊かな人々が住む教区の教会だったことから、貴重で印象深い価値あるものがあります。たとえば、デザインがユニークな信徒席。教会を支える富豪たちに敬意を表し、ミサの間も心地よく過ごせるように設計されたものです。見事な芸術作品も展示されています。祭壇はバロック様式で、中央にピーテル・パウル・ルーベンスによる『東方三博士の礼拝』があります。

Town Hall of Mechelen by night

全く異なるミュージアムが2つ  

メッヘレン周辺を歩くと、教会や大聖堂ばかりでなく、いくつもの広場、大きな館や豪邸を見ることができます。その一つが、16世紀、ヒエロニムス・ブスレイデンが催した完璧な晩餐会で知られる建物です。ここは、ブルゴーニュの宮廷文化を体験できるミュージアム、ブスレイデン邸博物館として2018年春に開館する予定です。『正義を求めて』と題するオープニングの展覧会が告知され、すでに大きな反響を呼んでいます。この展覧会は、メッヘレンの黄金期、15世紀中盤から17世紀中盤までの、芸術、法、正義と不正が交錯する時代に焦点をあてたものです。

第二次世界大戦中、ユダヤ人25,484人と、ロマ人352人が、カゼルヌ桟橋からナチスの強制収容所へ送り出されました。カゼルヌ・ドサン・ミュージアムは、彼らの悲惨な経験を通して人権について、人々に考えるきっかけを与えています。二度と似たような歴史を繰り返さないように、大量虐殺に繋がった集団的暴力の広がりに始まり、それを当局がいかに許し、公的に支援までしていったのか、迫害の裏にどのような意図があったのかを問い続けています。

Kazerne Dossin - ©Stijn Bollaert

ヘット・アンケル醸造所、ベギン会院、そして、狂気のアート  

ちょっとビールでも飲みたい気分になったら、環状道路に沿って、ヘット・アンケル醸造所を目指してください。この醸造所では、思わず感嘆の声をあげてしまう美味しいビールを造っています。まずは、グーデン・カロルスから。ダークなグーデン・カロルス・クラシックや黄金色のグーデン・カロルス・トリプルなどがあり、ワールド・ビール・アワードで、それぞれのカテゴリーのベストビールに選ばれています。醸造所見学の後には、試飲もでき、お土産を買う人には割引もあります。

Gangway along the Canal in Mechelen
なんとこの醸造所は、大ベギン会院の中に建っているのです。ベギン会というのは、フランダース地方独特のもので、ベギンと呼ばれた信心深い女性たちが住み、勤労しながら祈った閉ざされた共同生活の場。ベギンたちは、未婚女性あるいは未亡人で、出家することなく神に仕える生き方をしました。門をくぐって中に入ると、特徴的な建築の家々、教会、花壇に囲まれた中庭に着きます。都市の中心部に位置するとは思えないほど、静寂で穏やかな空間です。

ミュージアムやアート・コレクションは通常、特定のテーマに基づいて作られているものですが、狂気をテーマにするというアイデアはどうでしょう。マッド・アート・コレクション(Zotte Kunstkabinet=狂気の絵画館)には、風刺的あるいは道徳的に「狂気」を扱った絵画が集められています。ヒエロニムス・ボス、ヤン・ヴェルベーク、ピーター・ブリューゲル(子)などの作品が所蔵されています。

Tapping beer in brewery Het Anker - ©Milo Profi

夜になったら  

今度は全く違う楽しみ方を。ホーヴェルウェルフからの、デイル川ボートツアーはいかがでしょう。デイル川は、メッヘレンの歴史に極めて重要な役割を果たしています。メッヘレンはかつてデイルスタッド、つまりデイルの町と呼ばれたことがありました。ボートツアーでは、歴史的なスポットを訪ね知ることができます。平穏な雰囲気を楽しみながら、ゆったりと川沿いを散策してみてもいいでしょう。

デイル川沿いのヴィスマルクトには、軽食から夕食まで営業しているカフェ、レストラン、バーが立ち並びます。夕刻にはいろいろなイベントもが催されるので、パブをはしごしたり、びっくりするほど種類が豊富なベルギービールを試すのに最適です。

食指をそそる場所は他にもたくさんあります。大聖堂の目の前の Il Cardinale(イル・カルディナーレ)は、美味しく創造性あふれるバーガーであまりに有名。たとえば、「気でも狂ったの?」、「神聖なるグアカモレ」、「赤ちゃんジーザス」などなど、キリスト教にちなんだ言葉や、不思議な面白さを込めて命名された料理ばかり。

カイゼル通りを下ったところにある、d’Afspraak(アフスプラーク)では、ベルギーの伝統料理が食べられます。料理の選択肢が極めて多く、気取らない雰囲気がうれしい。少し先には、M-Eateryという肉好きのホットスポットがあり、ステーキとフリッツを堪能したい方にはぜひお薦めです。 

食事よりもお酒という人には、メッヘレンで最も古いビアカフェD’Hanekeef(ハネケーフ)はいかがでしょう。50種類以上のビールを取り揃えたカジュアルな人気スポットです。

Sunset on the canal in Mechelen

2日目

アールヌーボ―、アールデコ、ネオ・ゴシックが一つに 

2日目は、とっておきのおすすめスポット、聖ウルスラ修道会のウインターガーデン(温室)から。この畏敬の念さえ抱かせる驚きの建築は、1900年に寄宿学校の一部として造られたもの。一見すると、アールヌーボーの傑作に見えるのですが、よく観察すると、アールデコやネオ・ゴシック様式も取り入れられていることに気づきます。多彩な植物が描きこまれた屋根部分のステンドグラスが、シダや花々の咲き乱れるこの温室に、光と色の陰影を与えています。

Glass rooftop of the greenhouse in the winter garden - ©VisitMechelen - Koen Broos

子供のころに戻って

さて、子供たちのお楽しみの時間です。小さな子どもから、童心を失わない大人まで。たとえば、プランケンダール動物園はいかがでしょう。サイの餌やりを眺めたり、ライオンを覗き見たり、インコを頭に乗せたてみたり、地下の洞窟を探検したり…。ゾウが泳いだり遊んだりするために特別に設計された居住区も必見です。 

メッヘレンでとっておきの楽しみといえば、素晴らしいアートの宝物―おもちゃミュージアム。ここを訪れる理由はたくさんあります。芸術や社会の発展と共に、おもちゃが歩んできた5,000年にも及ぶ歴史に魅了されます。20世紀のおもちゃに焦点を当てた展示が、記憶をたどる素敵な旅に連れて行ってくれる瞬間、感動は最高潮に。もちろん、子供たちが楽しめるおもちゃ、そして、親たちも一緒に楽しめるおもちゃが山ほどあります。 

テクノポリスに出かけるのもいいでしょう。科学をインタラクティブに、楽しく、身近なものにしてくれるのはもちろん、「クール!」と感じさせてくれるミュージアム。例えば、自動車を持ちあげることができたり、コンクリート板を通して、ひそひそ話が巨大音響に拡声して聞こえたり、あらゆる年齢の人々の内に潜む、偉大な科学者を目覚めさせてしまうのです。

Technopolies - ©VisitMechelen

ブレーンドンク要塞

ブレーンドンクの要塞は、かつて、ナチスの強制収容所として使われたところです。驚くほど当時のままに保たれたこのメモリアルは、冷酷な歴史を語ると同時に、訪れる人に勇気を呼び起こす、希望のメッセージを与えてくれる場所となっています。ブレーンドンクに収容された3,500人の捕虜たちが受けた残虐な扱いは、今日、世界で希求される人権の意味や価値を教えてくれます。展示は慎重に考慮されており、どの年齢の方でもご覧いただけます。

Fort Breendonck
メッヘレンには、まだまだ歴史的に大事なものがたくさんあり、ご紹介した以外にも、様々なストーリーに満ちた旅が体験できます。メッヘレンの全てをたった2日で巡るのは不可能ですが、短い滞在でも、芸術あふれるメッヘレンの魅力を大いに感じていただけることでしょう。
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