Belgian Trappist and Abbey Beer ©www.milo-profi.be

ビールのタイプ分類ではなく、キリスト教との縁や定められた条件に適合するビールにのみ使用が許されている集合名称です。ビールのタイプは様々ですが、多くの場合、ブロンド、ダーク(ダブル)、トリプルの三種類が含まれています。

トラピストビール

Westmalle © www.milo-profi.be

トラピストというのは、キリスト教の中でも、特に戒律の厳しい「シトー」の掟を順守する会の名称で、トラピスト派とも呼ばれます。その名は、フランスのノルマンディー地方にあるラ・トラップ修道院から来ています。ローマ・カトリックに属し、聖ベネディクトが説いた、回廊を瞑想しながら祈ることに重きを置く修道生活が特徴です。6世紀にできた厳しい戒律は、今日では多少緩やかになっていますが、「修道院は自給自足すべし」という掟は今日も守られています。 これを実現するために、ほとんどのトラピスト修道院では様々な物を作って販売し、修道院に必要な収入を得ています。そのなかでもトラピストビールは、非常に有名です。

現在、トラピスト醸造所は世界に12カ所(2016年5月現在)あり、そのうちベルギーにあるのは6カ所、ウエストマール(Westmalle)、ウエストヴレテレン(Westvleteren)、アヘル(Achel)、シメイ(Chimay)、オルヴァル(Orval) そしてロシュフォール(Rochefort)です。正真正銘のトラピストビールには、トラピスト製品だけに付けることが許されている六角形のマーク(www.trappist.be) がついているのですぐに見分けられます。このマークは、トラピスト修道院の敷地内あるいは隣接する醸造所で、修道士の管轄のもとに醸造されたビールであることを証明しているのです。

修道院の中で、醸造はあくまで二次的な活動で、利益追求が目的であってはならないのです。このような戒律の元では、製造コストを抑えるプレッシャーもなく、従って、最高品質を保証する高価な原材料を用いることができるのです。トラピスト修道院の生活費を賄えれば、残りはチャリティ活動に寄付されます。トラピストビールを飲めば、美味しいだけでなく、多少はチャリティにも貢献していることになるのです。トラピスト協会は正式に登記されており、そのロゴマークは消費者にトラピスト製品であることを伝え、品質を保証しています。トラピストビールという名称は、特定のビールタイプを指しているのではないのです。ベルギーに多くのトラピストビールがあることは、ベルギーのビール文化を語る上での大事な特徴といえます。

アベイビール

Averbode Abdij ©Averbodia
"アベイビールというのも、集合的な固有名称で(したがって、特定なビールタイプを指す言葉ではなく)、ノルベルトまたはベネディクト会派の現存する(あるいは今は解散してしまった)修道院に由来のある名称を冠するビールであることを意味しています。修道院の名前を使うためには、修道院内や隣接地で醸造されたビールである必要はありませんが、その修道院との歴史上の縁を証明することができなければなりません。そして、その修道院に名称使用料を支払わねばならず、同時に修道院は修道院の名前にそぐわないようなマーケティング戦略や広告物がないかチェックすることができます。

修道院の名称を大切に扱ってもらうために、醸造所とキリスト教会が合同で、オランダ語でErkend Belgisch Abdijbier (認証ベルギー修道院 www.belgianbrewers.be)と呼ばれるロゴマークを作成しました。定められた条件に適合していなければ、このマークを付けて販売することはできません。これはベルギー国内のロゴマークで、ベルギーのビールにのみ適用されます。
トラピスト製品の条件は、アベイビールの条件より格段と厳しいものなので、定義上、すべてのトラピストビールは、アベイビールとも呼べることを知っていてください。アベイビールは現存する修道院で醸造されなくてもよいので、アベイビールは必ずしもトラピストビールとは呼べないのです。 それでも、アベイビールを飲めば、その代金の一部は文化・慈善活動にもたらされるので、ちょっとした社会貢献につながるのです。"

ダブルビール・トリプルビール

"ダブル、トリプルという呼称の起源は中世にさかのぼります。一般的なビールは、「シングル」と呼ばれており、庶民や修道士がこれを飲んでいました。ところが、権威や富を持つ者は、それより高級なビールを求めたのです。そこで醸造家は、より多くのモルトを用いて、アルコール度の高いビールを造ったのです。当時、ビールを運んだり、酒場で働く人々は、文字を解することができませんでした。そこで、醸造家は、木樽に(チョークで)✖印を書いて区別できるようにしたのです。✖は普通のビール、✖✖はアルコール度の高い(すなわちダブルビール)、そして最もアルコール度数の高いビールには、✖✖✖(トリプルビール)と書かれたのでした。 

シングル、ダブル、トリプルという言葉は、よく言われているような、発酵や熟成など醸造方法に関連する意味づけはないのです。主原料(すなわち麦芽やその他の穀物)の量には関係があります。より多くの原料を用いれば、アルコール度数が高くなるからです。ダブルビールはシングルよりアルコール度が高いのは本当ですが、2倍の原料が用いられて、アルコール度数が2倍というわけではありません。 今日では、シングルビールという名称は使われていませんが、もっとも軽くて喉越しの良いビールを意味するのに「エクストラ」という名前を使っている醸造所があります。また、トリプルよりさらにアルコール度数の高いビールとして「クワドゥルプル」(4倍)というビールを造る醸造所も出てきました。 

今日では、ダブルと呼ばれるものはダークビールが多く、トリプルと呼ばれるビールはブロンドビールが多いのですが、必ずしもそうでない場合もあります。名称とビールの色の原則は、それを踏襲する醸造所も、しないところもあります。クアドゥルプルビールは普通ブロンドビールです。 

アベイを訪ね、その周辺や製品を楽しんでください。"

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